ひきうけ隊の流下さんにお聞きした。「特殊清掃」という言葉を、初めて聞いた。
今の世の中には、こうした仕事が必要なのだと思った。
流下さんの仕事は、
・孤独死をした方の部屋の清掃
・ゴミ屋敷の片付け
・価値ある物の正当な価格での買取り
・とりわけ思いが詰まっていそうなものを遺族に引き渡すこと等。
一切合財処分しますという業者とは違う。仕事は一言で言ってしまえば「遺品整理」。
心無くしてはできない、さりとてやわな心でもできない仕事。
このちょっとやんちゃそうな顔が、何より心強い。
しかしやんちゃなだけではない。流下さんは最初の奥様を病気で亡くされ、遺品を片づけられない辛さも知っている。今の奥様の法子さんは、一見控えめだが、色々な事を受け止めてくれそうな強さを感じる笑顔の素敵な人だ。
「ひきうけ隊」は、生前整理も引き受ける。
「この庭の奥に倉庫が有るから、そこ片付けて」という依頼で、まずは伐採。そして伐採後に出てきた倉庫を片づけた事もあるという。ひゃ~と言いながら、笑ってやりきってしまう「ひきうけ隊」、とにかく困ったら「ひきうけ隊」なのだ。
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いくつかの事例をお聞きした。
片付けには気力と体力が必要だ。しかし高齢になるとそのどちらもが足りなくなってくる。そして少しずつたまっていく物たち。片付けを始めると、地層のように年代の古い物たちが顔を現す。「20年前の新聞が畳の上にあった。この人は、この頃から片付ける気力が失せていったのかと想像してしまう」と流下さんは言った。
遺族が誰も気づかなかった壮大なコレクション、大事にしていた家族の思い出、素晴らしい栄光の数々、そして宝石や大金が出てくることもある。それらをすべて正直に丁寧に報告し、かかった費用と相殺する。認知症が有ったのか無かったのか分からないけれど、きっととても好きだったであろう冷蔵庫いっぱいの納豆を見つけた事もある。一人で暮らし一人で逝った人が遺した物には、故人の人となりがそのまま出ているという。それを最期に偲んでくれる人、それが流下さんだ。無意識のうちに日々の足跡を残しながら、私たちはこの瞬間を生きているのだと思った。
ただ、亡くなり方によっては感染症などのリスクもあるため、防護も忘れない。この物々しい姿は、そうしたことへの配慮だ。
◆ 御社の取り組みの中で、高齢者や障害者に優しい一押しの取り組みはなんですか?
流下/お片付けですヨ!
◆ 地域への貢献活動は行っていますか?
流下/今はとにかく仕事が忙しいのですが、これから頑張っていきたいね。何せうちのキャッチフレーズは、
『未来の為に今、私達に出来ること』
※少しでも社会の役に立てる活動をしていきます。
だからね。
◆ 顧客に向けたサービスの中で、今後一番力を入れてゆきたいことは何ですか?
流下/様々なエンディングノートってのがあってね、遺品整理の観点から書くエンディングノートもあるわけ。そのことをもっと知ってもらいたいんだよね。
一般社団法人遺品整理士認定協会認定
一般廃棄物収集運搬業許可
三重県公安委員会古物商許可
<取材の感想>インタビューアー:NPO法人UDほっとねっと理事長 伊藤 順子
頼もしいの一言に尽きる。ここには書けないような話も、実はたくさんあった。 地元にこうした業者さんがいる事は、知っておくとよいと思うのだ。