四日市の中央緑地内に、2020年5月、アリーナが開館しました。ここは、三重とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)で、2021年10月23日(土)と24日(日)にバレーボール(身)とバレーボール(知)が開催される会場です。
中央緑地の中には総合体育館以外にもたくさんの屋外運動施設がありますが、総合体育館だけでもたくさんのユニバーサルデザイン的な設備や仕組みが用意されていました。今回はこの誇るべき四日市市総合体育館のUD的な施設をご紹介します。
1.屋根付き通路の確保
屋根のついた思いやり駐車場からエントランスまで、ずっと屋根のあるフラットな通路が続いています。
2.シグナルエイド対応
来訪者がシグナルエイドを持参した場合、入口のセンサーが感知して音響案内装置が作動すると共に事務所にも連絡が行くため、必要であればスタッフが入口で対応してくれます。
3.遠隔手話通訳サービス
手話通訳をお願いすると、事務所に準備されているタブレットで、市役所障害福祉課の手話通訳者を介して会話をすることが出来ます。(市役所の業務時間内のみ)
4.「みんなのトイレ」や「介助更衣室」
みんなのトイレは複数あり、左右対称の造りになっている便房、オストメイト、ユニバーサルシートなどが振り分けられています。
介助更衣室にはロッカー、シャワー、トイレがあり、車いすの利用者が使いやすくなっています。「みんなの」という表現には、オールジェンダーへの配慮もあるのだとか。
5.車いす観覧席とヒアリングループ
アリーナ観覧席南側には車いす席が4ブロックありました。(各ブロックに介助者含め8名入れるそうです)サイトラインも確保できていました。
車いす席とそのブロックを含め下3段の座席には、難聴者用補聴システムが埋設されているそうです。デザインを優先させた為か、視覚的な区画表示はありませんが、ホームページ等にシステムの紹介はありますので、ご覧ください。
6.3階の観覧席からの避難経路
通常時、3階の観覧席へはエレベーターか階段を利用するようになっています。しかし災害時にはエレベーターが利用できなくなるため、車いすの方の避難経路として、屋外のスカイストリートから地上へのスロープが設置されていました。
Q 御社の取り組みの中で、障がい者や高齢者に優しい一押しの取り組みはなんですか?
ANSWER
スッキリとした美しいデザインや県産材を活用した木のぬくもりに加え、ITも活用しながらの合理的配慮をし、誰もが利用しやすい施設とすることです。
Q 地域への貢献活動があれば教えてください。
ANSWER
アリーナを活用する方だけでなく、様々な方に開かれた施設となっています。分割可能な多目的室、ウエイトトレーニングにも力を入れたトレーニングルーム、近的射場、遠的射場のある弓道場、分割できる会議室などがあります。また2階には、雨天時でも利用できる1周320メートルのウォーキングコースがあります。そのほか公園利用者や屋外運動施設利用者の方もトイレ、更衣室等の利用ができます。多くの方にご利用頂きたいと思っています。
Q お客様に向けたサービスの中で、今後一番力を入れていきたいことは何ですか?
ANSWER
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を講じて、市民の皆様のスポーツ活動の促進とトップレベルのスポーツを観ていただく機会に配意し、より多くの方に安心してご利用いただける体育館を目指していきたいと思っています。
【取材の感想】
<辻 明美>一つ一つ丁寧に対応して頂きありがとうございました。面倒なお願いにも積極的に対応して下さるスタッフの皆さんに感動しました。
<国保 暁>随所に設計的な経験値の積み重ねを感じました。デザイン的に美しく圧倒されました。
<樋口 平和>手作りのものを含め、随所に使用者目線の工夫が満載でした。エレベーターも通り抜けタイプになっており、とても使いやすいのですが、エレベーターのボタンが小さいのが残念でした。
<藤本 春生>補聴システムや車いすスペースなど、観覧席が多様性に配慮されており素晴らしい!ただトイレなどの表示が、遠くからでももう少し見やすいといいなと思いました。
<伊藤 順子>これほどUD的にレベルの高い建物が、四日市にできた事にとにかく感謝します。UD社会見学コースとして、学校の先生方におススメしたいと思います。ホームページでUD的な設備のご紹介があると、事前に調べていく障がいがある方には親切だと思いました。
【施設使用料】
使用する施設、目的、日時によって異なります。HPやお電話等でご確認ください。